県内有数の呼吸器診療スタッフ
当院では7名の呼吸器内科医師が常勤医として勤務しておりますが、これは県立病院では最も多く、県内でも大学病院に次いで2番目に多いスタッフ数です。また、呼吸器外科医師も4名常勤しており、県南地域では唯一呼吸外科手術に対応しております。豊富なマンパワーを生かし、近年では以下のような特色のある呼吸器診療を行っております。
肺癌に対する免疫療法
免疫療法の登場により、肺癌に対する化学療法も大きなパラダイムシフトを迎え、治療成績も向上してきております。当院では日々更新される最新の免疫療法をいち早く取り入れ、2023年度には新規で191例の肺癌症例を診療し、積極的に免疫チェックポイント阻害薬を使用しています。
肺癌に対する分子標的治療
肺癌の中には特定の遺伝子変異を有しているものがあり、その遺伝子変異に対して作用する薬剤を使用した場合に非常に良好な治療効果を示すことが判っています。これを分子標的治療といいます。分子標的治療の対象となる遺伝子変異は10年前までは1種類のみでしたが、年々その数が増えており、現在は9種類の遺伝子変異に対する治療薬があります。複数の遺伝子変異をまとめて調べることのできる検査法(肺癌遺伝子パネル検査:オンコマインDx、AmoyDxなど)が登場しており、当院でもできるだけ遺伝子パネル検査で検査ができるよう取り組んでおります。
特色のある検査手法
肺病変の診断目的で毎週火・木曜日に気管支鏡検査を行っております。2023年度には、検査手技が日々進歩していく中で、新しい手技を積極的に行っています。手術困難な難治性気胸に対する気管支充てん術を11回行いました。また、通常は放射線科医師が行うことが多いCTガイド下肺生検を呼吸器内科医師が実施しており、全国的に見ても珍しい取り組みです。
気管支喘息に対する専門的治療
気管支喘息は吸入薬や内服薬で良好なコントロールが得られることの多い疾患ですが、中には一般的な治療薬では症状を抑えることのできない難治性の患者さんもいらっしゃいます。そのような患者さんに対して生物学的製剤の使用や併存疾患の治療といった専門的な治療を積極的に導入しております。
外科的治療にも迅速に対応
呼吸器外科の常勤医が4名おりますので、手術適応のある早期の肺癌に対しては呼吸器内科での診断から呼吸器外科での手術まで迅速かつスムーズな連携が可能です。肺癌以外の疾患でも気胸や膿胸などで内科的治療では治癒困難と判断した場合には速やかに呼吸器外科へ相談し、外科的治療に対応してもらうことができます。
臨床研究について
当科ではNEJ研究グループが行っている多施設共同研究に参加しております。臨床研究のうち、患者様への侵襲や介入がなく、診療情報などの情報のみを用いて行うものを観察研究と呼びます。対象となる患者様から直接同意を取得する代わりに、研究に関する情報を通知または公開し、拒否できる機会を保証しております。このような研究手法を『オプトアウト』と呼びます。
当科で参加・実施している臨床研究は以下のとおりです。研究への協力を希望されない場合や、詳しい情報をご希望される場合はお知らせください。研究不参加を申し出られた場合でも、何ら不利益を受けることはありません。
No1 研究期間 2024.10.4 ~ 2029.12.31
研究課題名 悪性胸膜中皮腫における薬物療法に関する臨床実態についての後ろ向き研究