腹部大動脈瘤、動脈閉塞症といった動脈疾患、下肢静脈瘤や深部静脈血栓症などの静脈疾患、リンパ管疾患等、血管外科全般にわたります。
※ただし、当院では、「心臓」・「胸部大動脈疾患」の手術はできません。盛岡市または仙台市の病院へ紹介させていただいております。
岩手県南地域で唯一の血管外科として、奥州胆沢地域に限らず、県南・沿岸部各地からの患者様に治療を行っています。
血管外科専門外来は、毎週 月・水・木曜日 午前中(祝日等休診日を除く)です。
完全予約制になっており、かかりつけ医からの紹介状が必要です。
・足がむくむ、足の血管がボコボコしている。足がつる(下肢静脈瘤の可能性があります)。
・足が冷える、歩くと足が痛い。長い距離歩けない、坂道・階段が登れない(足の血流が低下している可能性があります)。
・おなかがドクドクする、おなかに心臓があるようだ(腹部動脈瘤の可能性があります)。
このような症状の方は、かかりつけ・開業医にご相談のうえ、紹介状をもらって受診してください。
医療機関からの紹介につきましては、当院紹介センター宛にFAX(0197-24-4180)等にてご紹介ください。
また、急を要すると判断されました患者さんにつきましては、随時対応いたしますので
直接お電話(0197-24-4121)にてご連絡ください。
(平日診療時間内には外科外来、土日夜間の診療時間外は救急外来にて対応いたします。)
遠方で当院まで通院が困難な術後の患者様の外来フォローアップのため、県立中部病院・磐井病院・大船渡病院へ、月1回出張外来も行っております。
腹部大動脈瘤は、ステントグラフト手術(カテーテル手術)と、開腹人工血管置換術の2通りの手術方法があります。個々の患者様の病状により、最適な治療法を提示いたします。
ステントグラフト手術は、本邦で使用可能な全機種の指導・実施資格を持った専門医が、患者様に最適なデバイスを選択して治療を行います。
腹部大動脈瘤に対するステントグラフト治療
下肢の血流障害のある患者様に対しては、血栓除去・カテーテル血管拡張・ステント留置術や、通常のバイパス術の他、重症虚血肢に対するDistalBypass(ディスタルバイパス:足首、足先までの血管バイパス)、植皮・陰圧閉鎖療法・吸着式血液浄化療法(レオカーナ)なども行い、特定行為研修修了認定看護師とともに、慢性創傷・フットケア外来を開設し、下肢救済足病治療を積極的に行っています。
CLTIに対する治療
下肢静脈瘤は、下肢静脈瘤診療ガイドライン(日本皮膚科学会)、下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術のガイドライン(日本脈管学会・日本静脈学会)に則り、適正な適応判断を行い、治療を行っております。
リンパ浮腫については専門資格(リンパドレナージセラピスト、リンパ浮腫療法士)をもった看護師、理学療法士による弾性着衣や包帯による圧迫、圧迫した状態での運動、リンパドレナージ、スキンケア、セルフケアを組み合わせた「リンパ浮腫複合的治療」を保険診療にて行っています。なお、厚生労働省の指針により、保険診療の適応となるのは、「鼠径部、骨盤部若しくは腋窩部のリンパ節郭清を伴う悪性腫瘍に対する手術を行った患者又は原発性リンパ浮腫と診断された患者」に限られます。また、リンパ管吻合等の手術治療は行っておりません。
血管外科疾患の詳細な説明は、
下記の学会ホームページ等の解説をご参照ください。
<2008年~2023年 血管外科の手術実績の推移>
<2023年の血管外科関連手術 内訳>
【動脈瘤】
・腹部大動脈瘤・腸骨動脈瘤 70例
ステントグラフト術 55例
開腹人工血管置換術 15例
【静脈瘤】
・下肢静脈瘤 28例
レーザー・高周波治療 27例
【末梢動脈疾患】
・急性下肢虚血(非動脈硬化) 血栓除去術 7例
・慢性虚血・閉塞性動脈硬化症 91例
血管内治療(カテーテル手術)単独 35例
バイパス手術・ハイブリッド手術(*) 56例
(うち下腿・足部へのディスタルバイパス術 10例)
((*)ハイブリッド手術とは、カテーテル手術とバイパス手術を組み合わせて、効率的かつ低侵襲に下肢の血流改善を行う手術方法です。)
【その他】 77例
血管外傷、仮性動脈瘤、末梢動脈瘤、人工血管感染手術、下肢足趾切断、デブリドマンなど
当院は、心臓血管外科専門医・修練指導医、脈管学会専門医が在籍し、下記施設認定を受けています。
・3学会構成心臓血管外科専門医認定機構 認定修練基幹施設
・日本脈管学会認定施設
・下肢静脈瘤血管内焼灼術実施施設
(*)慢性維持透析患者の下肢末梢動脈疾患指導管理加算について
平成28年診療報酬改定より、「慢性維持透析患者の下肢末梢動脈疾患指導管理加算 100点(1月につき)」として掲載され、実施されています。慢性維持透析患者全員のPADを評価し、療養上必要な指導管理を行い、ABI 0.7以下またはSPP 40mmHg以下の患者は、本人同意を得て連携先の専門医療機関へ紹介することで算定できます。当院は、連携先の専門医療機関となっています。)
東北大学病院 総合外科(血管外科グループ)との連携
当科は、東北大学病院 総合外科(血管外科グループ) と診療、研究、専門医師教育において、相互連携を行っております。
当科で実施中の多施設共同臨床研究
当院 血管外科では、全国多施設と共同連携し、下記の研究に参加しています。
〇破裂性腹部大動脈瘤に対する開腹手術とステントグラフト内挿術の治療選択に関する全国多施設観察研究
〇腹部大動脈領域の人工血管・ステントグラフト感染に対する術式と予後に関する後向き研究
〇下肢重症虚血患者に対する血行再建術後の、最適皮膚潅流圧測定日の検討
〇脈管疾患に関する多施設疫学研究